患者 男性 70歳代
主訴 左側耳疼痛と耳閉塞感 右側耳疼痛
〇現病歴
3ヵ月前、熱中症を発症し耳痛が出現する
①近医耳鼻咽喉科
②総合系病院耳鼻咽喉科=耳CT=異常なし
③大学病院耳鼻咽喉科=耳CT=異常なし
〇症状
耳痛(+)両側
耳閉塞感(+)左側
耳鳴り(+)両側 *発症前より
難聴(+)両側 *発症前より
めまい(-)
顎関節痛(+)左側
左側顔面部の鈍重感(±)
頭痛(±)
咽頭痛、嚥下障害、咽頭部違和感(-)
肩こり感(-)
〇一般状態
食欲、便通=正常 睡眠=6時間
血圧145/73 脈拍79 体温36,9℃
〇既往歴
40歳 両側慢性中耳炎ope
8年前より心臓ペースメーカー装着
コレステロール、痛風、入眠薬=服用中
〇経過(施術期間195日 施術回数33回)
2回目~7回目治療前=不変
8回目治療前=耳閉塞感10%改善
9回目治療前=耳閉塞感30%~40%改善
10回目治療前=大学病院耳鼻咽喉科診察3D画像にて左側側頭骨茎状突起が6㎝長いと指摘
過長した突起が神経に触っているため疼痛が出現すると説明される
診断名は告げられないが側頭骨茎状突起過長症(イーグル症候群)と思われる
11回目治療前=耳閉塞感50%改善
17回目治療前=耳閉塞感70%改善
26回目治療前=2,3日前より耳痛消失
27回目治療前=3日前より鎮痛薬断薬
28回目治療前=耳痛消失より耳鼻咽喉科より処方されている投薬中止
31回目治療前=入眠10分 睡眠時間6時間30分 入眠薬中止 耳閉塞感80%改善
33回目治療前=両側耳痛、両側耳閉塞感=消失 耳鳴り、難聴=不変
〇結び
先天性もしくは成長期からの後天性で側頭骨茎状突起が過長したと推測します。
熱中症発症により、その後遺症なのか原因不明の耳疼痛が出現。
初診時の耳疼痛と耳閉塞感は現在消失されています。
40歳時に手術されました慢性中耳炎により耳鳴り、難聴は不変ですが継続治療中です。
現在、耳に関する治療薬と入眠薬は断薬されています。
珍しい症例の一つです。
*側頭骨茎状突起過長症(イーグル症候群)とは
茎状突起の平均長は日本人で 20mm 前後である。
茎状突起の過長によりこの突起の近傍にある舌咽神経、頸動脈が圧迫されるなどして 種々の症状を呈する疾患を過長茎状突起症(Eagle 症候群)という。
Eagle 症候群という呼称は 米国Duke 大学の Eagle が1937年に初めて本症を報告したことによる。
過長茎状突起による舌咽神経の咽頭枝の圧迫や頸動脈周囲の交感神経の圧迫により 多彩な症状が出現する。
耳症状(耳鳴、耳閉感、放散性耳痛)、咽頭症状(咽頭痛、嚥下痛、異物感)、 頸部・顔面症状(顔面痛、肩凝り、頸部圧痛)、その他(頭痛、不安感)など 症状は不定で多彩なため、他の疾患や精神疾患と誤診されることも多い。発声障害はまれなようである。
扁桃窩の触診にて索状物を触知し、耳、頸部への放散痛を伴う場合は本症を疑う。
3DCT(3次元CT)による診断が最も確実である。
保存的治療としては鎮痛薬、カルバマゼピンや舌咽神経ブロックなど 神経痛に対する治療が行われるが十分な効果が得られない場合には 外科的治療の適応となる。
口腔内からアプローチする口内法、 もしくは側頸部を切開する外切開法によって茎状突起を切除する。
原因不明の咽頭痛、耳痛を訴える患者には 本疾患の可能性も考えておく必要がありそうだ。
現在の身体状態、病気の進行度、発症経年月、年齢等によって治療効果に個人差がありますので、
予めご了承ください。
突発性難聴、低音障害型感音難聴、老人性難聴、良性発作性頭位めまい症、ハント症候群、
ベル麻痺、耳鳴り(頭鳴り)、メニエール病、嗄声(させい・声のかすれ)、鼻閉症、アレルギー性鼻炎、花粉症
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