デラシン通信

症例㉓ :起立性調節障害Ⅱ

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患者 17歳 男性 高校3年生
主訴 朝の起床困難
初診 平成28年8月

〇現病歴
今年1月、思いあたる原因もなく朝の起床困難を発症し1ヵ月間、毎日18時間の浅い睡眠をするようになった
3月下旬に一旦、軽快し4月、5月は登校するが6月に再発症し現在に至り登校できない
症状順位は①朝の起床困難 ②立ちくらみ ③頭重 ④頭痛 ⑤全身倦怠感 ⑥動悸
夕方になると行動が活発になる
現在は気管支喘息の薬のみ服用

〇既往歴
乳幼児より気管支喘息で2回入院歴があり現在に至る

〇一般状態
食欲・便通正常
身長180㎝ 体重70㎏
血圧126/63 脈拍53

〇経過(期間72日:23回施術)
2回目治療前=少し気分が楽になる
3回目治療前=50%改善 自然起床
4回目治療前=今朝より7か月ぶりの喘息発作
5回目治療前=昨日の喘息発作で午後より登校し1時間保健室で休む
6回目治療~10回目治療=初診前症状で午前2時・3時就寝し午前10時・11時起床
11回目治療前=60%改善 午前1時就寝~8時起床
12回目治療前=午前8時に自然起床 7日間は登校
13回目治療前=発熱発症で食欲不振 午後11時~午前9時睡眠
14回目治療~16回目治療=食欲不振(体重3㎏減)、全身倦怠感 午後11時~午前7時睡眠 自然起床
17回目治療前=食欲不振は60%改善 立ちくらみ、頭重、頭痛、全身倦怠感、動悸は消失し10分間気分転換で散歩する
18回目治療前=60%改善 食欲有3食通常量
19回目治療前=80%改善 自然起床し初診時症状の立ちくらみ、頭重、頭痛、全身倦怠感、動悸は消失
20回目~23回目治療前=100%改善 前回同様、自然起床し初診時症状の立ちくらみ、頭重、頭痛、全身倦怠感、動悸は消失 食欲もあり喘息発作もない

〇結び
当初、鍼灸治療を拒絶されていたが母親の説得で渋々、受療することになったとの事。
大学受験勉強を、本格的に迎える2年生3学期に突然発症。国立大学合格を目標にしていたのでプレッシャーがあったのではないかと推測される。
施術期間中に気管支喘息発作、発熱と短期中断したが、当院施術を初診時より最優先に考慮され症状の不安定時期もあったが徐々に効果をあげたと思います。
また、保護者が本人に気が楽になるような言葉をかけられ症状も一段と改善に向かったと思います。
現在、元気な時と同じサイクルで生活を送り登校できるようになり症状安定なので再発防止に1週間に1回の施術と突然に発症したら、すぐに施術するよう推奨した。

〇原因
起立性調節障害の原因は自律神経のバランスの乱れです。
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、この2つの神経によって血管の収縮や心臓の拍動などを調節しています。自律神経が正常に働いていると、血圧が高くなると体は血圧を下げようとし、逆に血圧が低くなると体は血圧を上げようとします。しかし、起立性調節障害では、このように体調を適切に調節する機能がうまく働きません。
朝に下がった血圧がなかなか上がらないのはこのためです。相反する作用の神経系がバランスを取りながら調節しています。起立性調節障害の子供は、この2つの神経のバランスが悪いために、朝から体調がととのわず、起きられない状態になります。

起立性調節障害には、おもにこれらの症状がみられます。
〇朝に起きられない
起きようと思っても身体を起こすことができない。目は醒めても身体がだるくて動かない。なかには、なかなか目が醒めず保護者が無理矢理起こしたことも覚えていないことがある。この場合には睡眠障害といえるものもある。
〇立ちくらみ
急に立ち上がったときに目の前が暗くなったり、白くかすんだりする。とくに午前中に強い。風呂から上がるときにも起こりやすい。
〇全身倦怠感
身体が重たくてだるい。とくに午前中に強く、午後から程度が軽くなり、夜にはほとんど感じなくなる。
〇食欲不振
午前中は食欲がない、とくに朝起きた後は気分が悪くて食べられない。
立っていると気分が悪くなる:起立した状態で何か作業をする、通学など電車で立っているなどしたときに、気分が悪くなり立っていられなくなる、あるいは倒れそうになる。ひどい場合には気を失ってしまう(失神)。その際に冷や汗が出たり動悸を伴ったりすることもある。
〇失神発作
気を失って倒れてしまう。その場合、前兆(目がちかちかしたり、目の前が見えにくくなったり、気分不良、冷や汗、動悸など)を自覚する場合もあれば、前兆もなくいきなり気を失う場合もある。人によってはくり返すこともある。
〇動悸
胸がドキドキと心臓の拍動が速くなる。とくに午前中に起こりやすく、立ち上がったときや階段を上ったりする際に多くみられる。
〇頭痛
起立性調節障害の子どもの頭痛は、起立性調節障害による頭痛、片頭痛、緊張性頭痛の3つが混在していることがあり、見分けが難しい。起立性調節障害による頭痛は朝、起き上がってから出現し、午前中に多く、午後から楽になる、痛みの性質や状態は片頭痛のようにズキズキすることもあるし、頭重感のこともある。片頭痛は、午前午後など時間に関係なく発症し、脳に心臓があるかのようにズキズキし、目がチカチカして吐き気や嘔吐を伴うことがある。片頭痛は1~3日持続することもある。緊張性頭痛は精神緊張、僧帽筋や頸部筋の緊張を伴い、肩こりが強く頭を締め付けられるような痛みが多い。タイプによって処方薬も変わる。
〇夜になかなか寝つけない
起立性調節障害は夕方から夜になると気分がよくなり、夜には目がさえて寝つけない。布団に入ってもいつまでも眠くならない。副交感神経(身体を休めるはたらきをする)は夜に活動が増え、朝に活動低下するという日内リズムがあるが、起立性調節障害では夜に活動が増えないので、眠くならない。退屈なのでついついテレビやゲームをやってしまう。保護者からすると、夜更かしの朝寝坊、怠け者、という印象をもってしまう。
イライラ感・集中力低下:午前中はほとんどといってもよいほど頭がまわらない、授業にも身が入らない、思考力が低下し考えがまとまらずイライラする。午後からは思考力は回復なるが、勉強が遅れて宿題がたまるのでイライラ感はなくならない。
小学校高学年から中学生の思春期前後の子どもでは、このような朝起きの悪さ、たちくらみ、頭痛、腹痛、全身倦怠などの身体不調を訴えて小児科を繰り返し受診することがあります。
しかし、一般的な診察や血液検査では該当する異常を認めない場合、多くは起立性調節障害(OD)と診断されます。
起立性調節障害は、思春期で最も起こりやすい疾患の一つであり、頻度は約5~10%と大変に多いものです。

 

 

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