西日本新聞記事から
「お連れ様はどちらですか?」妻に先立たれた男性、客室乗務員の対応に…
半世紀以上も連れ添った妻に先立たれた、横浜市の知人男性からこんな話を聞いた。
男性は葬儀を終えた後、故郷である佐賀県唐津市の寺に納骨するため、羽田空港から空路、九州へと向かった。
遺骨を機内に持ち込めることは知っていた。でも入れたバッグがかなり大きく、念のため搭乗手続きの際に中身を伝えた。
機内に乗り込み、上の棚にバッグを入れて席に着くと、客室乗務員がやって来てこう言った。
「隣の席を空けております。お連れ様はどちらですか?」
搭乗手続きで言ったことが機内に伝わっていたのだ。
男性が「ああ、上の棚です」と説明すると、乗務員はバッグごと下ろしてシートベルトを締めてくれた。
飛行中には「お連れ様の分です」と飲み物も出してくれたという。
「最後に2人でいい“旅行”ができた」と男性。その表情を見ていたら、こちらも温かい気持ちになった。 (鎌田浩二)
この記事は2017年07月13日付で、内容は当時のものです。